レオの趣味生活 加古川ガレージ日誌

折りたたみ自転車の散歩がメインです(^^♪

淡路の素掘りトンネル

先週中ごろから体調が悪く、風邪をひいていた。
すぐに治るだろうと思っていたのになかなか治らない。
調子が悪くて早く寝たのに、
風邪で体力が落ちて虫歯が進行したらしく歯が痛くなり、
おかげで一睡もできず余計に体調が悪くなるという悪循環だった。
歯医者に行き、内科に行き、医者通いを続けて、やっと復活してきた。
しかし、医療費高い・・・一度医者に行くと最低でも3000円近くかかる、ツラい。
さらにヨメサンが門柱でウイッシュをこすり、
リヤサイドが傷だらけになっていた。
私のダメージはますます深くなるのだった・・・

 

やっと体調が治ったので、気を取り直して淡路に行くことにした。
目的は、以前から気になっていた「淡路の素掘りトンネル」である。

 

私は地形図を見るのが好きで、暇があればよく眺めている。
現在はウェブで2.5万分の1の地形図を閲覧できるので
便利になったものである。
先日も「淡路は秘境だ!」と思いながら
地形図を興味津津で見ていた。
淡路市の南端付近を見ている時、変わったことに気がついた。
25000分の1の地形図だが、
単線標記の道(軽車道)に、トンネルが書かれている。
しかも近接して2か所ある。

↑長澤の文字の上下部分

 

一本は、トンネルを迂回するように太い道路がつけられているので、
トンネル側はおそらく旧道だろう。
もう一本は迂回路などはなくトンネルで抜けるしかないようだ。
どちらもかなり狭い道のようで、
自動車が通過できるのかも怪しい感じである。

 

淡路島は地形は比較的急峻だと思うが、
トンネルの存在はほとんど聞かないので、
意外な発見だった。
また、本当にこの位置にトンネルを掘る必要があるのか、という点でも
疑問があった。十分迂回路がとれそうな感じなのだ。

 

早速ウェブで調査したが、なかなか情報がない。
誰かレポートしていてもよさそうだが、
そのようなHPは発見できなかった。
地元の広報誌のようなものに写真が掲載されていたが、
小さくてよくわからない。
また、ヤフーマップの航空写真では、
一本は開削されてしまっているようにも見える。



とにかくわかったことは、2本とも1800年代の末に造られたかなり古いもので、
素掘りであること。
長さは長くても20m程度
幅は2m程度、そして今でも通り抜けられることだった。
ちなみに所在地は淡路市の南方に位置する長澤という集落付近である。

 

早速明石大橋を渡り、淡路へ入る。
休日はETCの中間割引があるので助かる。
島の東側を南下し、北淡インター入口を過ぎてから西へ左折。
淡路鳴門道をくぐり、長澤集落を目指す。
現場は「生穂第2小」のすぐそばなので、
あらかじめナビに位置をセットしておいた。
そのとおりに行けばいいだけだ。

 

結構高低差のある山村を抜け、小学校前に着いた。
ここから見渡すが、トンネルらしいものは見つからない。
(実は地形図を忘れてきてしまった。ナビにトンネルは表示されてない)
付近住民のおばさん、じいさん、ばあさんに聞き取りをして
場所を特定する。
淡路の人はみんな親切で、一生懸命に説明してくれた。
淡路サイコー。
そしてうろうろした揚句、やっと一本目を見つけた。




いい感じのトンネルである。
ゴミが散ったりもしておらず、結構きれいだ。
上部の山はそんなに高くなく、せいぜい20m位である。
現在も通行に使用されているが、
新道がすぐそばにあるので、
ここは農作業に行く人が利用しているようだ。
西側は、新道から右へ分岐して坂を少し登ったところに坑口がある。
西側の坑口は素掘りで、土山を直接堀ったものである。
土質はかなり脆く、手で触るとぽろぽろ崩れる。

 

坑口上部の山肌が結構崩れた感じなので、
開通当時よりかなり位置が後退しているのでないかと思われる。
内部は半部以上が素掘りだ。
天井は約2.5m程度あり、人が普通に歩ける。
幅も2m程度で、軽トラックなら問題なく通過できるだろう。
手彫りの鑿の跡があるかと思ったが、
内壁は結構風化しており、鑿跡なのか判別できなかった。
昔はもっと天井が低かったのではないか?

 

東側出口付近は近年にコンクリートで改修されている。

 

ボックスカルバートを山に突っ込んだような感じで
出口付近が巻き立てられており、東側ポータル一体でRC化されている。
両袖の法面も既成ブロックで改修されたものだ。
路面はコンクリート舗装されており、側溝はない。
また、内部照明、トンネルの銘板や扁額の類、解説看板等は一切ない。
東側の坑口を出ると、下り勾配で段々畑の中を進み、新道に合流する。

 

確かに相当に古い隧道だ。
また、このトンネルが町道か市道かは不明だったが、
東側坑口が大改修を受けているので、
行政の管理下に置かれているのは間違いないようだ。
しかし、これだけ古い素掘りのトンネルが残っているのは、
かなり珍しいと思うのだが、「説明看板を設置する」など
もう少し盛り上げてやってもいいものでないかと感じた。

 

その後もう一か所のトンネルを見に行く。
さっきのトンネルから200mほどのすぐそばにあった。
しかし・・・残念ながら開削されていた。


トンネルとは関係ないが、ちょうどトンネルの出口正面に
360のポーターキャブが朽ちていた。
このポーターはトンネルを通り抜け、
トンネルが消滅するのもここで眺めたのだろう。

 

開削については航空写真のとおりである。
ちょうど農作業のおばさんが通りかかったので話を聞いた。
おばさんによると、近年までトンネルは残存していたらしい。
しかし、ユンボを通すのに邪魔になるので
切り崩したそうである。
また、よく崩落があり困ったそうである。
築造時期を聞いたが、
おばさんがこの村に来た時にはすでに存在していたそうで、
相当古いのではないかと言っていた。
また、この近辺でかつてたたらが行われていたことも教えてくれた。

 

 

さらに、この地区内には古い水路トンネルがあるらしい。
現在は使用されていないらしいが、
猫が出てくるのを見かけるそうなので
貫通しているのでないかという。
ただし入洞は命がけらしい。
さすがに水路トンネルには興味はないので場所まで聞かなかったが、
おばさんもおじいさんも同じ話をしていたので
結構存在感のあるものなのだろう。

 

以上が淡路市の素掘りトンネルのレポートである。
個人的に思うが、
淡路にはこの手のトンネルが結構存在していたのでないかと思う。
ただ、開削されてしまったり、人知れず埋もれてしまっているのでないか?

 

また、淡路島はかつて淡路交通という鉄道があり、
島内での鉄道はこれだけとされているが、
おそら林業用か、酪農用等のトロッコ軌道があったんでないかと思う。
今のところ情報はつかんでいないが、
これだけの規模の島なら一つはあったはずだ。
(洲本の紡績工場や一時的なダム工事等ではトロッコが使用されていたが、
もっと山間部で継続的に使用された軌道があったと思う)
いずれこれも調べ上げてレポートしたいものである。

 

とにかく、淡路にはなぞが多い。
堪らなく私を魅惑する島である。