私が子供のころ、実家の近くには神戸製鋼の社宅やニッケの工場があって、
その敷地内に給水塔がそびえたっていました。
給水塔とは敷地内の給水を一括して行うために、
一旦高所に浄水を貯留する施設で、
鉄骨製や鉄筋コンクリート製のものが多いです。
私の実家周りは大体高さ20m程度のものが見られました。
神鋼社宅の給水塔はRC造で、
頂部に神戸製鋼のマークが赤で書かれており、
夕暮れ空に独特のキノコ型のシルエットを見たのをよく覚えています。
それは、なんだか薄気味悪い形状でもあり、それでいて安心できる
日常的な光景でした。
その神鋼の給水塔は30年近く前に解体されましたが、
煉瓦製のニッケの給水塔は未だ現存しています。
現代は給水技術の向上により、もう新たな給水塔が作られることは
ないようですので、典型的な昭和の遺産です。
私の住む加古川市内では、
加古川市の甲南病院に現存しています。
神野の丘の上にあり、周囲からもよく見えています。
甲南病院は元陸軍病院ですが、
航空写真で確認すると、この給水塔は戦後国立病院化された以降の築造のようです。
しかし、当病院の建築経緯より、周囲の山林内は
怪しい地下壕や軍事施設跡が放置されているようで、
なかなか味わい深いスポットです。
給水塔は、今日も梅雨空の下、丘の上にそびえたっていました。
構造は鉄筋コンクリート造で、バラ板型枠にコンクリートを流して築造されています。
内部は階段があるようで、最上部がタンクのようです。
上部扉より外部足場を経由して点検できるようになっています。
基礎部分のピット。
ここから内部に入れるようですが、草が茂っており使用している形跡がありません。
おそらく中には鉄製の梯子?
多分、病院建屋も古いので、この設備も現役だと思いますが、
思い立ったらすぐ記録に残すべきです。
明日解体されるかもしれませんので。
甲南病院は、地元でありながら行ったことがありませんでした。
腰痛になった際、MRIを撮りにここへ通院しましたが、
その時この給水塔を見て強烈なレトロ感を感じました。
ちなみにここの先生は一発で大腿骨頭萎縮症を言い当てました。
外観は昭和レトロですが、腕はなかなかです。
とにかく、この給水塔がいつまでも生きながらえてほしいものです。